「テレビの言うことは信じるな」と言うたったひとつの理由

『君には記憶力が無い』
是か、否か。

『君には知識欲が無い』
是か、否か?







君は多く、知識を手にしている。
君はテレビを付ける。君は新聞を読む。
君はスマートフォンを叩く。君は誰かと話す。
君は普段からいろんなことを耳にするだろう。いろんな人がいろんなことをした話を聞くだろう。
ならば君に聞いてみよう。君に知識欲はあるか?



無いと答えた君には「ちょっとは空気を読んでほしい」と答えよう。
君はちょっと変わっている。大多数とは一味違う。
そういう人、俺は好きだぜ。だが今は黙っててくれ。

そんな少数の天邪鬼はさておいて、この世の大概の人間は、自分に知識欲はあると言うだろう。
もちろん全員が胸を張って答えるわけではない。
無いわけではないよ、旺盛な方でもないけれど。なんて答えるのが大多数の奥ゆかしい日本人的な回答ではないだろうか。
ともかく、君は日々情報を求めている。そう言ってもいいだろう。
君がスマホを叩くのは、君がテレビをつけるのは、何かしらの面白さ、つまりは情報を求めているからだろう。



であれば、そんな情報が大好きな君にプレゼントをあげよう。
「男木島図書館には、蔵書が2500冊ある」
ネコヤナギは雌雄異株である」
白磁・青白磁人間国宝は塚本快示さんという」
源氏物語60巻説という説がある」
「円周率の小数点以下560番目の桁の数は7である」
「p53と呼ばれる因子が活性化するとアポトーシスが起こる」
どうだろうか、楽しいだろうか。

無論楽しくない。
大多数の人間にとってはもうぜんっぜん楽しくない。
そんなこと言われたって逆に困るし、こんな情報ばっか乗ってるニュースサイトがあったら即潰れるだろうむしろ潰れてほしい。
ちなみに上記はwikiから持ってきた。新着にあったやつから適当に見たんだがなんと男木島図書館は昨日のバレンタインに開館したらしい。どうもうどん県こと香川の海に浮かんでいる人口180人ほどの小さな島。しかし元々小学校に付設する形で図書館はあったようで、そこには島の歴史に関する本の他、友好都市であるダブリンに関する本が多数あったらしい。その友好というのが意外なほど長く、当時鎖国中であった日本近くを通行していた複数の商船が座礁、その乗組員を匿い、船を直す材料まで提供したとかなんとか。そんな友好を示した図書館でもあったらしいんけれど数年前に起こった雷雨、その落雷による延焼で半分くらいが焼けてしまい、もう半分も雨で読解困難になってしまったとか。
本来ならすぐにでも買い直して図書館も立て直すところだろうけれど、人口180人の小さい島。子供も数少なく、このまま小学校をつぶし島の外に通わせるべきではみたいな動きにもなりかけていたんだとか。
そこに現れたのがダブリン市。子供たちの学ぶ場まで無くなるのは忍びないと海の向こうから2500冊を一括購入&輸送。その数、2500という数字は、かつて助けられた船員の数にちなんでいるという。





えっごめんこれ何の記事?と君は言ってもいい。
なんか初手煽られたと思ったら知らん島の解説になったでござる。と思ってくれて構わない。この部分の記述が長いのはそういう記事のつもりで書いているのだし、君を煽ったのは私の趣味だ。
なんでこうも長々と島の解説を並べたのか、そう聞く前にまず先に私が問おう。

男木島図書館の蔵書はいくらであろうか?
そして白磁・青白磁人間国宝の人の名前は何だっただろうか?



君は前者は覚えているだろう。その数は2500冊。
それはダブリンからの船の乗組員と同じ数。その歴史、その友好に至るまで、君はちゃんと記憶しているだろう。
しかし後者はどうだろう。白磁・青白磁人間国宝。思い出せるだろうか、その名前を。
陶芸家の父を手伝い15の幼い時分から陶芸の道を突き進み、モントリオール万博への出品や紫綬褒章授与などの果てに人間国宝に認定されたその人の名前を。



君が好むのは情報ではない。
君が好むのは物語だ。

いや君だけに及ばない。
全ての人類は物語を愛している。
それを知識欲と勘違いしているだけなのだ。
人は情報を求める。しかし真に求めているのはただ単品では役に立たない情報ではなく、情報と情報、その間にある繋がりを求めている。

君は覚えられない。人の名前を。
ただの人の名前。漢字4文字の組み合わせを君は覚えられない。
しかし君は覚えられる。それよりよっぽど長い歴史を覚えることができる。
300年以上昔から続く友好を。それが今に至るまでの物語を。君は覚えることができる。

君が教職につく人間であるならば、覚えの悪い生徒を叱ってはならない。
覚えられないその場所を、他の場所と繋げて見せるのだ。
君に何かを世に問いたいのならば、ただ正論を振りかざしてはならない。
正論に座して成功した人々の物語を説けばいいのだ。



人は単純だ。
物語を好み、理論を嫌う。
論ずるな、語れ。
そうすれば、誰もが君の記事を待ちわびるだろう。
君が物語を見出し続ける限り、人は君の記事に酔うだろう。
もちろん全てに物語が見い出せる訳ではない。
しかし、困難でも書き続けるしか方法は無い。
なぜなら君はジャーナリストだからだ。
情報を届けるのが君の使命だからだ。
より多くの人に届けるのが君の使命だからだ。
物語を忘れてはならない。
物語の無い、楽しくない報道など、誰にも届かないのだから。
誰にも読まれない報道に、意味など無いのだから。


















君はこのタイトルを読んだだろうか。







君は、どこから嘘だと気付いただろうか。
男木島図書館 - Wikipedia